大学の選択課目の中に、「中世ドイツ語」に関する授業があった。どんなものか良く分からないまま好奇心でとってみたが、珍しもの好きがたくさんいたと見えて受講者はまあまあ多かったと思う。
詳しいことは忘れてしまったので、その道の方々の提供してくれる情報を引用させてもらうが、「中高ドイツ語」(というのが言語としての名称らしい)は、高地ドイツ語の1050年頃から1350年頃の段階のもの、 なんだそう。(ウィキペディアより)
忘れたものが多い中、自信を持って覚えています、と言えるのは英語の“day”(意味は「日」)はドイツ語の“Tag”(こちらも「日」)の綴りが変化したもの、という話。ドイツ語綴りの“t”が英語では“d”となり、“g”が“y”になったのだ。
ちなみに、ドイツと隣り合うオランダ語では「日」は“dag”。ドイツ語と英語の仲を取り持つような綴りで興味深い。
綴りの変遷の例は他にもいろいろ説明してもらったが、記憶の樹海で迷子になって戻らない。
だが、この授業のおかげで、同じルーツを持ちながら時を経て様々に変化し、今に至る言語が多くあることを実感した。時に難解で、毎回楽しくてワクワクする授業という訳ではなかったが、面白かった。
ただ惜しいことに、中世ドイツ語の薄皮をチラッとめくったところで受講期間は終わってしまった。この授業のために、かなり分厚く、値の張る辞書を買ったのだが、内容があまりに特殊で、当時はもう使うこともないだろうと考え、さっさと誰かに売り渡してしまった。
今頃になって時々、あの辞書が手元にあったらなぁ、と思う。時が経ち、言語をこねくり回してご飯を食べる身になってみると、語源や言葉の変遷に関する情報も何かと役に立つ。
調べてみたら、やはりこの手の辞書は高価だ(1万円とか、3万円とか)。もう買うことはないと思うが、あの時のナルホドがきっかけとなって、あかおには今でも楽しく外国語と向き合えている。
たとえ中途半端でも、学んだことって無駄にはならない、と思う。